2017年12月10日日曜日

電波少年Pが語るテレビの未来新しいテクノロジーが新しい企画演出を産む - ホウドウキョク

テレビ史に残る「進め!電波少年」や「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」を作り上げた日本テレビの土屋敏男シニア・クリエイターがテレビやメディアの現状と今後の展望を語る。
その中でテレビ、特にフジテレビへ復活への提言を聞いた。
(聞き手:洪由姫NewsPicksエディター・久下真以子キャスター)

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新しい武器を使って新しいものを作るべき

洪:
ネットの勢いが強くて「テレビなんかみないよ」とか、視聴率が取れないと言われています。欽ちゃんが「全体的に見て今のテレビの作りはみんな同じになってしまっている、さみしい」とおっしゃっていたということですが、土屋さん自身はどう思っていらっしゃいますか?

土屋:
インターネットやVRといった新しいツールをたくさんもっているのに、その新しい武器を使って新しいものをどんどん作ることができると思う。
僕が「電波少年」を作ることができたのも、ソニーの小さなカメラがあったから。それを使って、ディレクターが芸人2人とできた。担ぐような大きなカメラでカメラマンが撮っていたら、あの企画はできない。
だから、新しいテクノロジーって新しい企画、新しい演出を生むんだよ。だけど、それをサボっていると思う。もっとワクワクするようなものが作れると思うし、もっと予想を超えるようなものができると思う。それをやるように「We Love Television?(萩本欽一さんのドキュメンタリー、土屋さんが監督した映画)」を観た日本テレビの連中はみんな言ってる。フジテレビの人も早く観た方がいい。

一同:
(笑)

フジテレビはどこかで会社として修行をサボった

洪:
先程からずっと、そうおっしゃっていますね。いま視聴率が厳しいとか、どこどこの局の調子がいいとか悪いとか言われていますが、それらに対するメッセージはありますか?

土屋:
フジテレビは、数値化されていることを見過ぎだと思う。数値化されていないことをもっと見なければいけないと思う。
それは、「おもしろい」と思うことを信じて、それをちゃんと出せる力。これはコピーではないし、上の世代が教えてくれることでもない。修行だと思う。数値化されていることは勉強でできると思うけれど、数値化されていないことというのは、修行でしかわからないと思うんだよね。
これも欽ちゃんが言っていたことなんだけれど、彼は駒澤大学の仏教学部に行っているじゃないですか。そこで見ていると、最終的にいいお坊さんになる人というのは、修行をするんだって。お前が人間として何かを問われたときに、どう答えるんだ、と。

これはテレビマンも同じこと。つまり、教わったことをずっとやっていく、これは勉強なんだよ。そうじゃなくて、お前が今なにを出せるんだって。これは修行の先にしかない。
だから、どこかでフジテレビは会社として修行をサボったんだと思うよ。

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もういちど修行をちゃんとやる

洪:
これは、今からでも修行を積みなおせば、数値の回復につながるのでしょうか?

土屋:
修行は自分でやるもの。僕も「イッテQ」を制作している後輩に何かを教えたことはない。でも、彼のことを弟子だと言うし、僕自身も欽ちゃんとテリー伊藤の弟子だと言う。
けれどそれは「先生」ということではなくて、思わず「弟子です」と言ってしまうもの。この関係は、師匠がやっていることから弟子が何かを勝手に盗むという関係。それを、もう一度ちゃんとやらないといけない。

テレビ東京は、製作費が他局に比べて少ないけれど、これをきちんとやってきたから、アイディアを練って自分たちで何でもやって、そうしてきたから、池の水を抜いたりとか、誰かの家について行っちゃったりとか、今のおもしろい番組がある。お金じゃないんだよ。執念とか、熱とか、「絶対負けない」とか、そういうものだよ。それらがどこかで、フジテレビは見失ってしまったのかな。
「俺たちはさあ、あるし、お金」みたいに。今の作り手に、「自分の師匠はこの人だ」というのがちゃんとあるのかと。こういったことが、どこかで断絶してしまったのではないかなと思う。

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