宗教対立、消費社会、戦争、革命――。クラシック音楽の巨匠たちはダイナミックに時代を生きた。知のスペクタクルの開演!
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近現代史と音楽史を重ねてお話しするという、たいへん大きなテーマをいただいたのですが、まず一般に皆さんがイメージされるのは、「音楽の父」バッハに始まり、「天才」モーツァルトなどが活躍して、「楽聖」ベートーベンが頂点を極め、さらにワーグナーが壮大な総合芸術にまで高める、といった音楽史ではないでしょうか。もっと古くに遡れば、ルネサンスにおける近代的精神の目覚めに始まり、宗教や中世的な身分のくびきから脱して、自由な創造性の発露として芸術が発展する。そういった進歩史観に基づく、しかも音楽だけの自律的な歴史として語られてしまうわけです。
しかし、音楽などの芸術は、その時代の社会に受け入れられ、支持されてはじめて成り立つ。音楽家は芸術家である前に生活者。芸を売って食うということです。「芸術家」を「芸人」くらいに言葉を変換してみてください。音楽史は政治史や経済史や社会史と重ねて考えないと見えてこないのです。
■宗教改革で音楽は単純化した
そこでまず大きなポイントとして考えたいのは、16世紀ごろに始まる宗教改革の時代です。
この時期、音楽の主役はやはりキリスト教の宗教音楽でしょう。ルネサンス期には、ローマやヴェネツィアなどの大教会を中心として、神に祈りを捧げる合唱音楽が発達しました。…
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