2017年8月8日火曜日

有毒材料使わないポリカーボネート樹脂原料新製法旭化成 - 日経テクノロジーオンライン

 旭化成は、有毒材料を用いないポリカーボネート樹脂(PC)原料の新製法を同社水島製造所の実証プラントで検証した結果、連続運転1000時間以上を達成し、工業プロセスとしての運転安定性と操作性を確認した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクト(2014~2016年度の戦略的省エネルギー技術革新プログラム事業)の一環で、2017年8月7日に発表した(NEDOのニュースリリース旭化成のニュースリリース)。

■DRC法DPCプロセスの概要

(図:両者共同のニュースリリースより)

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■PCのカルボニル源の比較

(図:両者共同のニュースリリースより)

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 PCは、自動車のヘッドライトカバーやパソコンの外装、CDやDVDなどに幅広く使われる。従来のPC製法では、毒性の高いホスゲンを用いて製造されており(ホスゲン界面重合法)、安全性やエネルギー消費量に課題が残されていた。

 旭化成は、NEDOプロジェクト(2010年度のイノベーション推進事業)において、PCの原料であるジフェニルカーボネート(DPC)の新製法として、ジアルキルカーボネート(DRC)を経由した製造プロセス「ジアルキルカーボネート法ジフェニルカーボネートプロセス(DRC法DPCプロセス)」を開発した。

 DRC法DPCプロセスは、原料にアルコール、CO2、フェノールを使用し、独自開発の触媒を用いる。CO2とアルコールからDRCを製造する工程(DRC工程)を経由し、DRCとフェノールからDPCを製造する。PCの骨格となるカルボニル基に毒性の高いホスゲンを使用せず、安全な原料であるCO2を用いることで、安全性の高いPC製造プロセスを実現した。

 2015年から実証プラントを建設し、触媒サイクルプロセスや触媒性能、反応装置の性能、未反応の原料のリサイクルシステムなどについて実証運転を行った結果、従来の製造プロセスと比べて省エネルギーかつCO2排出量削減を実現した。今後は、新製法の経済性や省エネ効果などの検証を継続し、さらなるプロセスの最適化を進めてCO2を原料とし省エネ効果が高い新製法の確立を目指す。

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