パナソニックは、映像撮影用のカメラ(以下、単にカメラとする)と温度計測用のサーモカメラを利用して感情や体調の状態を推定する「感情・体調センシング」を開発した(図1)。感情や体調の推定結果を、買い物客の嗜好の分析や、従業員のストレスチェックなどに利用できるとする。同社は、開発した技術をCEATEC JAPAN 2017(2017年10月3日~6日、幕張メッセ)で展示する。
今回の技術は、カメラとサーモカメラから取得する生体情報を基に、人の快・不快の感情や、眠気などの覚醒の度合い、温冷感などを推定する。「2つのセンサーの併用によって推定精度を向上できた」(パナソニック)。以前からカメラ画像のみを利用した感情推定や、脈拍から眠気を推定する技術はあったが、1つのセンサーで取得できる情報は限定的である。生体情報と感情・体調との関連性には個人差があるため、限られた情報から感情や体調を精度よく推定することは限界があった。
2つのセンサーを併用した結果、眠気の推定では80%以上の正解率を実現した。さらに、生体情報を計測した後の眠気の推定も可能であり、例えば15分後の眠気は約70%の正解率で推定できる。また、喜びの感情は90%以上、驚きや怒り、恐れなどの感情は85%の正解率であるという。
パナソニックによると、今回の感情・体調センシングで使う技術の一部は既に採用実績があるという。例えば、温冷感センシングに関しては自社のエアコンで既に採用されており、眠気検知に関しては、2017年7月に発表した自動車向けの眠気検知・制御技術で使われている(関連記事)。
2つのセンサーのうち、カメラでは「心拍」や「瞬き」、「表情」といった生体情報をセンシングする。心拍数は、拍動によって流れる血液量の変化による肌の色の変化を利用して検出する。心拍数の増減から、緊張などを推定できる。瞬きの情報は主に特に眠気を推定するために使う。まぶたのスピードや、瞬きの間隔を波形として表し、そこから眠気と相関を持つ約60のパラメーターを抽出して、覚醒状態を判断している。表情に関しては、眉間の間隔や口角など、1800ほどのパラメーターを計測する。
一方、サーモカメラでは、対象者の放熱量や皮膚の温度などを計測する。例えば、放熱量が多くなると人は寒さを感じ、少なくなると熱く感じる。放熱量の少ない人はリラックスしているので、眠気の進行が速くなるといった推定ができるという。
こうして計測した生体情報を基に、機械学習をはじめとしたAI技術を利用して、感情や、眠気などの覚醒度、温冷感などを推定する(図2)。機械学習に利用する学習データについては、例えば眠気の推定では、約100人に1時間ほど運転してもらい、5秒間隔で眠気を判定した結果を利用したという。
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