2017年9月25日月曜日

自動車安全技術は大きな変革期EuroNCAP発表 - 日経テクノロジーオンライン

自動車の安全性を評価する欧州の機関、EuroNCAPは、1997年に設立されてから今年で20周年を迎えた。これに合わせて、今後の自動車安全性向上計画の優先順位を設定した「ロードマップ2025」を発表した。ロードマップの中でEuroNCAPは、今後の「自動運転技術の進歩」に注目し、それによる安全性の向上を強く支援する姿勢を示している。

 EuroNCAPが衝突試験を始めてからの20年で、自動車の安全性は大きく向上したという。これまで、消費者は車を買う時に、安全性の優劣を購入決定要因の一つにしてきた。しかし、最近の自動車はいずれも安全性が向上し、大きな差はなくなってきた。むしろこれからの自動車の安全性は、運転支援システムの進歩や自動運転技術の導入に大きく左右される。自動車安全技術はこれからの10年間で、これまでの100年間よりも大きな変化を経験することになるとEuroNCAPは予測している。

 Euro NCAPのこれからの重要な役割は、「自動化した安全技術」に関して公平で明解な情報を提供していくことだとする。自動運転は人為的なミスがなくなるため、安全上の利点が多い技術である。しかし現在の消費者は、自動運転に対して過度の期待や誤解、あるいは疑念を持っている。そのためEuro NCAPは、それぞれのモデルが自動運転技術や運転支援技術をどのような形で実現しているのか、明確な情報を提供する必要があるとしている。

衝突安全性だけでなく総合的な安全システムが重要

 EuroNCAPがこれまでに取り組んできた安全性評価は、前方衝突や側面衝突時の車室空間維持と人命保護が中心だった。これに、事故を起こさないための機能の搭載などが加わる。これらが主要な安全性評価項目であり、20年間で大幅に向上した部分である。現在は、追突時のむち打ち症軽減や後退時衝突の防止、歩行者保護など2次的な安全性の向上に力を入れている。今後は事故時の救出のしやすさや、停車時における自動車周囲の子供の検出など、3次的な安全性についても扱う方針だ。

 現在は、2次的な安全性の向上に力を入れているが、交通事故による死者ゼロを目指す「Vision Zero」を追及するうえでは、主要安全性と2次安全性、3次安全性を統合し、より総合的な安全システムの構築が重要になる。

 EuroNCAPは近年、衝突試験プログラムの重要なアップデートを重ねており、2020年にも前面衝突と側面衝突の試験の修正を計画している(EuroNCAP, 2015)。2次的な安全性の分野で開発が進むにつれて、今後の安全評価には運転支援技術や衝突回避技術を追加していく。

単体の技術評価からシナリオベースの評価へ

 自動ブレーキや衝突回避ステアリングなど普及によって、緊急時に介入するシステムが増えてくる。そのため、単純な自動ブレーキの試験といった「技術ベース」のアプローチから、「シナリオベース」の評価へ移行する必要があるとEuroNCAPは考えている。そのため、全体的な安全性を評価するための新しい試験項目をいくつか導入する計画である。

 同様に、パッシブセーフティの試験についても、シートベルトのプリテンショナーを衝突前に作動できるかどうか、などシステムとしての評価ができるように改善する。さらに、一連の安全性評価の信頼性を高めるために、さまざまな走行条件が想定できるバーチャルな試験の活用も検討している。こうした移行プロセスは2022年から段階的に進め、ロードマップ2025が終了するまでに完了する予定だ。

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